幸せ5 / 気づく。
コザワールド 社会人1年目 メイカー勤務
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あるとき、コージローは言った。
「しあわせってなんだとおもう?」
ぼく。
うーん。
「気づくこと。」
・・・
思いかえすと一年前。
夢と自由をつかみにアメリカへ飛び立ったことがある。
夢をつかまなければいけない。
ボクは必至だった。
でも、
海を挟んでとおい国に来たのに
おもいうかぶのは家族と友だちの顔。
はなれてやっと気づく大切なもの。
思えば夢なんてつかみどころがなくて
どこまでも自分勝手なもんだ。
ボクは大きな太平洋のむこうへと思いを馳せた。
そうしているうちに、必至だったボクのからだは
こわばりをゆるめて
心にも余裕ができてきた。
あらためて人にやさしくなりたいと心から思ったものだ。
視点が自分に向きすぎると
そのじぶんを縄でしばり
不自由にするんだな、とそのとき気がついた。
離れてわかること。
下宿をして、家族にありがたみを感じた。
社会人になって、学生のころの友だちを大切にしたいと思うようになった。
あまりべったり近くにいて
慣れ慣れしくなると大切なことも見失ってしまう。
ほどよい距離感は
大切なものを気づかせてくれる。
大好きな星野道夫のことばがある。
「寒いことが、人の気持ちを暖めるんだ。
離れていることが、人と人とを近づけるんだ」
しあわせな人って
とてもセンシティブで思いやりのある人だろうなぁ。